今月も花園誌で「心揺さぶる!禅の名場面」描かせていただいております。
今月のテーマは「門の外の音は?」です。
「自己」と「物」
今回のお話
外は雨が降っています。
鏡清道怤(きょうせい・どうふ)禅師が弟子に聞きます。
「庭先で音がしておるが何の音かな?」
弟子が答えます。
「あれは雨垂れの音です」
すると鏡清禅師はため息をついてこういいました。
「やれやれ、みな心が迷うておるのう」
さらにこういいます。
「『雨垂れの音』というがではそれを聞いている『自己』はどこにいる?その『自己』が聞かなければ『雨垂れの音』もないではないか。つまりお前は自己を見失っておるのだ」
そこで弟子が聞きます。
「では和尚さまはどうなのです?」
「わしは自己を見失うことはめったにない。物にとらわれないということじゃ。これは案外むずかしくないが…」
そして続けて、
「だが『自己』と『物』。この二つが別物でないということを表現するのは簡単ではない」
門の外とは「物(客観)」、門の内は「自己(主観)」のこと。
この二つが別物でなく一つえあることを不二(ふに)といいます。
不二を言葉で説明することはとてもむずかしいことなのです。
貴船のせせらぎいかがでしょうか。
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