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花園誌連載「心揺さぶる!禅の名場面」5月号は「黙して語り尽くす」

今月も花園誌で「心揺さぶる!禅の名場面」描かせていただいております。

今月のテーマは「黙して語り尽くす」です。

維摩居士の答えとは?

 

今回のお話 

維摩居士のお見舞いにたくさんの菩薩たちがやってきました。

そして、それぞれが「不二の法門」についての考えを述べたのです。

「不二の法門」とは生と滅、善と悪、真実と虚偽など、たがいに相対する二つのものが、実は別々に存在するものではないという考え方のことです。

菩薩の中でも智慧に優れるといわれる文殊菩薩の考えはこうでした。

 

「あらゆるものは語る言葉も説明もなく示すことも意識することもありません。だからいろいろと議論することもない。これが私の考える『不二の法門』です」

 

文殊菩薩維摩居士に問います。

 

維摩居士、あなたは『不二の法門』をどうお考えでしょうか?」

 

在家信者でありながらお釈迦さまに並ぶ境地を得ているといわれる維摩居士のことですから、一体どんな答えを出すのか菩薩たちは固唾をのんで見守っておりました。

ところが維摩居士はいつまでたっても口を開こうとしません。

 

ガマンできなくなって文殊菩薩はこういいました。

 

「どうされました?あなたのお考えは…」

 

そこで文殊菩薩はハッと気づきました。

「文字も言葉もない…この沈黙こそが真の『不二の法門』なのだ!」

 

この維摩居士の沈黙は「維摩の一黙、雷の如し(ゆいまのいちもく、らいのごとし)」として語り継がれるようになりました。

 

 

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