こんにちは今木商事(イマキショウジ@imakisyoji)です。
前回、餅マンガ企画を通して漫画家の具体的なプロモーションについておぼろげに見えてきたと書きましたが、今回はそのことをお話しましょう。
このブログでは全体に一般の方や超初心者向けの記事の方がアクセス数が多くて、漫画業界の中の人に向けた記事はアクセス数が少ないのですが、こと漫画家のプロモーションについての記事に限っては関係者向けの専門的な内容にもかかわらずアクセス数が多いですね。それだけ関心がおありなのでしょうか。
それでは例によって結論を先に書いておきましょう。
数で場を独占し購買者の目を引くです。
漫画家の方々!Amazon包囲の陣を張るのです!
どういうことか説明していきましょう。以下いろいろな方々の記事をまとめました。
きんどうさんの記事から
ご存じ電子書籍まとめサイト「きんどるどうでしょう」のきんどうさんの2015年12月22日の記事【Kindleで儲ける最悪のアイデア!画像転載とフリー素材で作る美少女写真集】から紹介させていただきます。
この記事はよろしくない方法で作られたらしい写真集のお話ですが、ここから学べる電子書籍の売り方の方法を述べてらっしゃいます。以下引用させていただきます。
さて、まあ、けなすばかりではなんなので、本作品から学べる儲ける方法論を述べますね。普通にちゃんと作ったコンテンツで使って欲しい方法ですが……
1.(なんやかんやして)写真集をつくる。できれば大量生産する
2.無料キャンペーンを同一タイミングで一斉に実施する
3.一部作品でもランキング上位に食い込ませて「この本を買っている人は」「この本をチェックした人は」に関連商品を大量に載せて一気に引き上げる
4.無料キャンペーン終了後は低価格にして高順位をキープしてレビューを集める
5.好意的なレビューが集まったら値段をあげて利益を狙う
正直いって私の頭脳ではこの記事を読んだときは今ひとつ理解できませんでした。
ところがこの記事と前後してこちらの方のブログも読みました。
いろはABCさんの記事から
たまたま目にしたブログですが実践的なことが書かれていました。引用させていただきます。
全部東大受験の本です。このように同じジャンルで3冊以上書くようにします。すると1冊だけポンと出した時以上に売上が伸びます。
なぜかっていうと買う人はその本をクリックして本の表紙をアップで見たところで、すぐ下の「この商品を買った人はこんな商品も買っています」っていうアマゾンのご丁寧なおせっかいに気がいってしまうからです。ここで3冊以上出していると、そこにも同じ作者の本が出てきます。するとある種の囲い込みが発生するわけです。
ここが超重要です。月数万円叩き出したい人は絶対に覚えておいたほうがいいと思います。
アマゾンを制するは、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」を制するです。
1冊しか出していないとどうでしょう? 買い手はあなた以外の作者の本に目が移ってしまいます。しかし5冊も6冊も出しているとなんやかんやで2冊くらいは下に現れて、閲覧者を「まあもうちょっとこいつの本を見てやるか」と思わせられます。
電子書籍で月10万円稼ぐために実践したこと - いろはABC
なるほどなるほど。先のきんどうさんの記事と似ていますね。
ようはたくさんの本を出し、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と知らせてくれるAmazonのシステムを利用して購買者の注意を引きつけるようにするというわけです。だんだんわかってきました。
陽崎杜萌子先生の記事
このあたりで頭の悪い私にもようやく飲み込めてきたわけですが
「むむっ待てよ。【お餅マンガ企画】も同じような考えの作戦なのでは?うむ、きっとそうだ」
これに気づいた私は一時的に鬼の首を取ったように得意になっていたのですが、すでに【お餅マンガ企画】でごいっしょした陽崎杜萌子先生が書いてらっしゃいました。
以下引用させていただきます。
餅マンガ企画も立派なキャンペーン!
このようにインディーズ作品を対象にしたキャンペーンもいくつか存在します。しかし、Kindleストアのような最大手では、こういったキャンペーンは今の所ありません。インディーズ作品でKindleストアでのキャンペーンに参加することはできないのでしょうか?
わたしは今回参加した「餅マンガ企画」のような自発的に行う企画も、電子書籍キャンペーンのひとつの形だと思います。実際、今回の企画に参加したことによって、普段とは違うユーザーの方達の目に触れる機会がグッと増えましたし。売上も一人で販売した時よりも大きく上回っています。
インディーズ本でも参加できる、電子書籍ストアキャンペーンの事例まとめ - ヒザキトモコのモコモコ
先ほどの2つの記事ではたくさんの自著本を用意して囲い込みを行うというのがキモになっているんですが、1人1作ずつでも持ちよって【お餅マンガ企画本】というグループで市場に出せば同じような効果が期待できるということですね。
実際「輪廻転餅」のAmazonのページを見てみるとご覧のとおり「餅一色」です(笑)
さすがはきんどう軍師みごとな作戦です。
稲葉山城を16人の部下でわずか1日で奪取した竹中半兵衛もかくやといわんばかりの働きです。
あと書き忘れていましたが99円キャンペーンと安い値段で設定しているところももちろん大事なポイントですね。
まとめ
大ざっぱにまとめるとこうなります。
- たくさんの本を用意する
- 無料あるいは99円など超安値でいっせいにキャンペーンをやる
- ランキング上位に入り購買者に目立つポジションに入る
- 「この商品を買った人は…」システムを利用してさらに相乗効果を狙う
思えば以前私は自作の「無双神機ライガスト2巻」発売のとき無料キャンペーンをやりました。
無料でダウンロードされた後は有料でも売れるという話を聞いたからです。
しかし無料ではたくさんダウンロードされたのですがその後はみごとに売れませんでした(笑)
今から考えると1作だけでなく他の本もいっせいに無料にするとかすれば良かったんですね。
最後に佐藤秀峰先生の記事も
ところで無料キャンペーンといえばこちらの記事はスケールが違います。
「きんどるどうでしょう」に掲載されている「ブラックジャックによろしく」で有名な佐藤秀峰先生の書かれた記事です。
以下引用させていただきます。
この数字がどういうことかというと、僕はコンテンツホルダーという立場を利用して、出版社を通さず各ストア、取次と直接契約しているので、自分から直接キャンペーンを提案できる立場にあるのです。
そこで、「特攻の島」最新第8巻の発売に合わせて、第1巻の無料キャンペーンを各ストアに提案し、それに合わせてSNSでも告知を行なうなど、いくつかの施策を組み合わせた所、このような結果になりました。
SNSでの告知が効果がなかったとは思わないのですが、それよりもはるかに大きかったのは、各ストアが展開してくださったトップページバナー広告ではないかと思っています。
きんどうさんのおっしゃる、「マンガ家は電子書籍ストアや出版社のキャンペーンを積極的に利用しはじめた方が良い」というお話は、間違いなく正しいです。でも、漫画家がもう少し違う規模で売り上げを伸ばしたいなら、まずはストアと直接契約し、積極的にキャンペーンを提案することです。
なんとキンドルだけでなく他の電子書籍ストアでもいっせいに無料キャンペーンを行うことによって非常に大きな効果をあげてらっしゃるんですね。
しかもこれをご自分の提案でなさっているところがまたスゴイ。まるで数万の軍勢を指揮する知勇兼ね備えた戦国武将のようではないですか。
以上具体的なプロモーション戦略についてでした。
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