覆面マンガ家ですが質問ある?

漫画家・今木商事の公式ブログ|マンガ、電子書籍などについてコメントします

51歳覆面漫画家がいろいろやってみて考えた漫画家のセルフプロモーション

f:id:manga-imaking:20160111121432j:plain

こんにちは今木商事(イマキショウジ@imakisyoji)です。

「輪廻転餅」お買い求めくださったみなさま本当にありがとうございました。おかげさまで私の電子書籍史上ありえないくらい売れております。 

輪廻転餅

輪廻転餅

 

 

さて今回のお餅マンガ企画を通して、プロモーションについて意識することがたくさんありました。それらを覚え書き的に語っていこうと思います。今後電子書籍をセルフプロモーションする漫画家さんの参考になれば幸いです。

ちょっと長くなりそうなので結論を先に書いておきます。

描くときは思いっきり好きなことを描く、宣伝はその後知恵をしぼって考えるです。

 

バッチリ描きナ~バッチリ描きナ~、宣伝「オレ!」(仮面ライダーゴースト風)

何回も書いたとおり、本お餅マンガ制作は電子書籍まとめサイト「きんどるどうでしょう」の管理人「きんどう」さんの革新的な企画によるものでした。

kindou.hatenablog.com

お餅マンガを描けばいろいろプロモーションを無料でお手伝いしてくださるという夢のような話です。

で、ブログの設定やデザイン、ツイッターのヘッダー画像などのアドバイスをやっていただきました。

実際きんどうさんに手を入れていただいてから少なくともツイッターのフォロアーさんは80人以上一気に増えました。さすが餅は餅屋です(笑)

輪廻転餅の表紙画像と内容説明文

そして「輪廻転餅」発売にあたっていろいろアドバイスを受けました。具体的には表紙画像と内容説明文です。

作品内容にはノータッチのきんどうさんは「輪廻転餅」を事前に読んでいるわけではないので、内容をまるっきり知りません。でもそんなわけでかえって初めて見たお客さんの視点で判断できるのですね。

「これだと読者が混乱するのでは?」

「冒頭の文言とラストの文言がつながらない」

「安っぽくならないように」

など有益なアドバイスをいただきました。

文章だと伝わりにくい内容

で、アドバイスを生かして内容説明文を書いたわけですが、これがけっこう苦労しました。

というのも、本作をお読みの方はおわかりですが最初に主人公たちが死んでしまいます。しかし決して深刻な内容ではなく、コミカルにお話が進んでいき、最後はほっこりした感じで終わるんですが、このちょっと変な感じを文章ではなかなかうまく表現できませんでした。

宣伝しやすい作品にしよう?

こんな体験をしてしまうとついこんなふうに思ってしまいます。

「こんなややこしい話を描くのはやめて、次はもっと宣伝しやすい作品にしよう」と。

自分が宣伝する立場も兼任していて自分で作品内容をコントロールできる分

「水着美女を出したほうが良いな」

「やっぱり相手役の男はもっとイケメンにしようか」

「そもそも死ぬ話が良くなかったな」

とかそういうふうに考えてしまうのです。

しかしこれではいけない! 

アンケートで「進撃の巨人」は生まれるか

もちろん商業漫画の世界ですからそういうふうに「売り」を考えることはとても大事です。 

でもそうやって「売り」を意識しすぎて、せっかくの自分の創作の勢いを削いでしまうことになってしまってはいけないと思うのです。

以前関わっていた雑誌で「次にどんな作品を読みたいですか?」とかアンケートを集めていたことがありました。現在やっている作品の評価にアンケートを使うのはまあわかりますが、新作の企画まで読者に聞くのにはちょっと首をかしげてしまいました。

たとえばアンケート調査で「進撃の巨人」は生まれなかったでしょう。

「城壁に囲まれた世界で巨人の脅威におびえて暮らす人類…そんなのが読みたい!」

とかいうノストラダムスみたいな読者がいるとは思えないからです。

進撃の巨人」の大成功のカギはもちろん作品の持つパワーに違いありません。

漫画家と宣伝マン一人二役トランスフォーム

作品のパワーを保ちつつ宣伝する方法…そこで私が考えたのは

作品を作るときは漫画家に徹して「売り」とか何にも考えずひたすら直感を信じてパワーのあるおもしろいと思うものを描く

そして作品ができあがったら今度は宣伝マンに徹して売りにくい素材でもとにかく知恵をしぼって気持ち良く買っていただけるよう宣伝する

ということです。

以前どこかで見かけた文章で、作家さんの発言だったと思うのですがこういうのがありました。

「『どんな変な作品でもいいからこれはスゲエ!ってものを描いてみろ。そしたらオレがそれを売ってやる』そんなこといってくれる編集がいればなあ」

こんな編集さんが実在するかどうかはともかく、ようは自分がそうなれば良いのです。

宣伝を工夫する楽しみ

やってみると宣伝を工夫するのもなかなか楽しい作業です。

けっきょくやりませんでしたが「ネコが出るんだからネコを大きく表紙に出したほうが良いかな」とかいろいろ考えました。漫画を作るときとまた違った側面からの思考はとても刺激的でした。

今後プロモーション的な才能も漫画家に求められるようになるかもしれませんね。 

輪廻転餅

輪廻転餅