今月も花園誌で「心揺さぶる!禅の名場面」描かせていただいております。
今月のテーマは「ひとひらの行方」です。
雪はどこに落ちる?
今回のお話
龐(ほう)居士が薬山惟儼(やくさんいげん)禅師のところを去るときのこと。
門のところまで出てみると雪がちらちらと舞っていました。それを見て龐居士は言いました。
「好雪片片別所に落ちず」
(ああ見事な雪だなあ。あの雪は別の処にはひとつも落ちんわい)
見送りに出ていた全(ぜん)という修行僧がそれを聞いて居士に問いかけます。
「では雪は一体どこに落ちるというのですか?」
すると居士はその言葉が終わらぬうちに全のほおをバシッと平手で打ちました。
全は言います。
「何をなさるんです。乱暴はおやめください」
居士は答えます。
「お前さんはそんなことで禅宗の坊主といえるのか。閻魔さまにも怒られるぞ」
「じゃあ居士ならどういいますか?」
全がそう返すと、また居士は全のほおをバシッと打ちます。そしてこう言いはなちました。
「目は開いているのにさっぱりものを見ておらん。口は動いているのに何も言えておらん」
全は居士の言葉で悟ります。
雪は「いま、ここに」落ちているのだと。
雪のひとひらひとひらはみな無心に「いま、ここ」を舞い、「いま、ここ」に落ちていく。人も同じく思慮分別にとらわれず「いま、ここ」を生きることが大切なのです。
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