今月も花園誌で「心揺さぶる!禅の名場面」描かせていただいております。
今月のテーマは「この世の中にゴミはない」です。
ゴミと呼ばれるものは何なのか?
今回のお話
盛永宗興(もりなが・そうこう)老師が修行を始めて間もない頃のことです。
若き日の宗興は師匠の後藤瑞巌(ごとう・ずいがん)老師に、庭掃除で出たゴミをどこに捨てたら良いか聞きました。
すると瑞巌老師はこう答えました。
「捨てるんじゃない。それはゴミじゃないぞ」
さらに続けて
「納屋に行って空き俵を取ってこい。その葉っぱを全部入れたらまた納屋に戻せ」
宗興は言われた通りにやりつつ、こう思いました。
「なるほどこれは風呂を焚くときの柴だ。ゴミではなかったなあ」
しかし柴にならないものもあります。宗興はつぶやきました。
「これはゴミだな」
これを聞いた瑞巌老師はこう言いました。
「それは雨落ちのところへ持っていって並べておけ」
やってみると、たしかに雨であいた穴もふさがるし見た目もいい。これもゴミではありませんでした。
しかし最後にコケの切れ端や土やほこりなど何かわからないものが残りました。
「う~んさすがにこれはゴミだろう…」
ところが老師はこれらを手に取ると地面のへこんだところにバラまいて、足でトントンと踏み固めてしまいました。後には何も残っていません。
「どうだお前は今混乱してどう生きていいか迷っておるが、世の中にはものでも人でもゴミというものは何ひとつないんだ」
お釈迦さまがお悟りを開かれたとき「一切衆生ことごとく如来の智慧徳相を具有す」といわれました。
この世の中にゴミはありません。
それどころかすべての存在は仏さまなのです。
来年の干支人形いかがでしょうか。
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